ITスキルが税理士の市場価値を左右する時代
「申告書の電子化がDXだと思っていた」——ある税理士からこの言葉を聞いて、正直苦笑いしました。電子申告はあくまで手続きの電子化であり、業務プロセスの変革ではありません。DXとは、デジタル技術を使って業務モデルそのものを変えることです。
今、税理士業界ではITスキルの有無が転職の有利・不利を大きく左右しています。私がコンサルティングファームに転職した際も、税務知識に加えてExcelマクロやデータ分析の知識が評価のポイントになりました。
税理士にとってのITパスポートの価値
ITパスポートは国家資格ですが、IT系の資格としては入門レベルです。それでも税理士が取得する意味は十分あります。理由は「IT用語の共通言語を持てる」こと。
クラウド会計システムのベンダー、社内のシステム担当者、DXプロジェクトのコンサルタントと話すとき、基礎的なIT知識がないと話が噛み合いません。ITパスポートを取ることで、セキュリティ、ネットワーク、データベースといったIT基礎概念を体系的に学べます。
勉強時間の目安は100〜150時間程度。税理士試験の勉強量に比べれば大した負担ではありません。転職活動の空き時間を使って取得できる資格です。
基本情報技術者まで取るべきか
基本情報技術者はITパスポートより一段上のレベルで、プログラミングの基礎も含まれます。税理士が基本情報技術者まで取るべきかどうかは、キャリア方向性によります。
- 会計システム導入コンサルや業務改善に携わりたい:取る価値大。システムの仕組みを理解した上でアドバイスできると信頼性が格段に上がります
- Big4のFASやアドバイザリー部門に転職したい:取得していると差別化になります
- 通常の税務申告・会計業務を続ける:必須ではありませんが、クラウド会計ツールの活用力向上には役立ちます
実際に役立つITスキル:税理士視点
Excel・Googleスプレッドシート
VLOOKUPやピボットテーブルは当然として、Power Queryによるデータ集計・変換が使えると実務効率が劇的に変わります。私はコンサル時代にPower Queryを習得してから、毎月の税務データ集計時間が1/3になりました。
RPA(Robotic Process Automation)
UiPathやPower Automateを使った業務自動化は、税理士事務所でも普及が進んでいます。定型業務の自動化ができると、1人当たりの処理件数が増え、所内での評価も上がります。
クラウド会計ツール
freee、マネーフォワードクラウド、弥生クラウドの3大ツールは全て使えるようにしておくべきです。顧問先によってツールが違うため、どれか1つだけでは転職先の幅が狭まります。
ITスキルの学習リソース
最速でITスキルを身につけるなら、資格勉強よりも実際に使ってみることが最も効果的です。Udemyのオンライン講座はExcelマクロ、Python、RPAなど税理士に関連するコースが豊富で、セール時に1,000〜2,000円で購入できます。
まずはYouTubeで無料の入門動画を見て興味があるツールを絞り込み、Udemyで体系的に学ぶという流れがコスパ最強です。資格取得はその後でも十分間に合います。
まとめ
DX時代の税理士にとって、ITスキルはオプションではなく必須装備です。ITパスポート取得を入り口として、実際に使えるExcel・クラウドツール・RPAスキルを積み上げていくことで、転職市場での競争力は確実に高まります。「ITは苦手」で済む時代は、もう終わりつつあります。
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