「事業会社の税務って、会計事務所とどう違うの?」
会計事務所から事業会社の税務部門に転職して1年が経ちました。転職前に最も疑問だったのが「事業会社の税務は会計事務所とどう違うか」でした。実際に移ってみて分かった違いをリアルにお伝えします。
仕事の性質の違い:「外部の専門家」→「内部の担当者」
会計事務所では複数のクライアントを担当し、それぞれの決算・申告に関わりますが、あくまで「外部専門家」の立場です。一方、事業会社の税務部門に入ると、自社の税務を「内部から担当する」立場になります。この違いは思ったより大きい。
事業会社では、経営判断のプロセスに税務担当者が関与します。新規事業の立ち上げ、M&A、海外展開——これらの意思決定の場に「税務的な視点」を提供するのが仕事になります。会計事務所では申告書を完成させることがゴールでしたが、事業会社では「ビジネスの成功を税務的にサポートすること」がゴールです。
具体的な業務の違い
業務 | 会計事務所 | 事業会社税務部門 |
|---|---|---|
申告書作成 | 多数のクライアント分 | 自社(グループ会社含む)のみ |
税務調査対応 | クライアントの代理人として | 自社の担当者として直接対応 |
経営への関与 | アドバイス止まり | 意思決定プロセスに参加 |
繁忙期の波 | 3月が極端に多い | 決算月次第で分散 |
年収水準 | 比較的低め | 企業規模により大幅に高い可能性 |
転職して良かった点・驚いた点
良かった点
- 繁忙期の波が平準化され、ワークライフバランスが改善
- 残業代・賞与の制度が会計事務所より明確
- ビジネスの現場に近いところで働ける達成感
- 経営会議への参加で経営の視座が身についた
驚いた点(良くも悪くも)
- 会議が多い。会計事務所では一人でひたすら作業する時間が多かったが、事業会社では社内調整の時間が長い
- 専門性を深める機会が会計事務所より少ない。税務ではなく「社内政治」のスキルが求められる場面がある
- 「税務の専門家」として尊重される一方で、「税務部門はコストセンター」という視点が会社内に存在する
転職前に確認しておけば良かったこと
転職活動時に「会計事務所とどう違うか」の確認が不十分でした。特に「社内での税務部門の位置づけ」は、会社によって大きく異なります。税務部門がCFO直下で経営に近い会社と、経理部の一部門として定型業務を担う会社では、仕事の性質が全く違います。面接時に「現在の税務部門はどのような組織の位置づけか」を必ず質問することをお勧めします。
まとめ:会計事務所と事業会社、どちらが良いか
一概にどちらが良いとは言えませんが、私個人としては「ビジネスに近い場所で仕事をしたい」という人には事業会社が向いていると感じます。一方で「税務の専門家として深く掘り下げたい」「多様なクライアントを経験したい」という人には会計事務所・税理士法人が向いています。転職は「どちらが正解か」ではなく「自分の価値観に合った選択」をすることが大切です。
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