「資格が揃ってから転職しよう」の罠
「税理士試験を全科目合格してから転職しよう」——この考えで5科目合格を待ち続け、最終的に10年以上同じ事務所で働き続ける税理士が少なくありません。私はその罠に気づいて、2科目合格の段階で転職活動を始めました。結論から言えば、これは正しい判断でした。
転職活動を2科目合格段階で始めた理由
転職を考えたきっかけは、同期が別の事務所に転職してから年収が100万円以上上がったという話を聞いたことでした。私は当時3年目で、年収430万円。「こんなものだ」と思っていたのが、転職市場にはもっと高い相場があることを知りました。
「2科目しか受かっていないのに転職できるのか」と不安でしたが、エージェントに相談すると「2科目合格+実務経験3年は、多くの税理士法人・コンサルで採用対象になる」と言われました。最終合格を待つ必要はなかったのです。
転職活動の実際:書類選考から内定まで
転職活動期間は約4ヶ月。応募社数は12社で、書類選考通過率は5社(42%)、面接進出は4社、最終的に内定2社をもらいました。
書類選考で落ちた7社は主にBig4の税理士法人でした。Big4は応募が集中するため競争率が高く、科目合格数・TOEIC等の要件が厳しい。一方で独立系FASや中堅コンサルでは、実務経験と「試験勉強を続けている姿勢」が評価されました。
面接でよく聞かれたのは「なぜ今の事務所を辞めるのか」と「5年後のキャリアイメージ」でした。前者には正直に「専門性を高めたい、成長できる環境を求めている」と伝え、後者には「税理士資格取得後にM&A・FAS領域で活躍したい」と答えました。
内定した2社の比較と最終決断
項目 | A社(中堅FAS) | B社(外資系コンサル) |
|---|---|---|
年収 | 530万円 | 580万円 |
残業時間 | 月30〜50時間 | 月40〜70時間 |
試験勉強への配慮 | 繁忙期以外は試験休暇あり | 個人の時間管理に任せる |
雰囲気 | チームワーク重視 | 個人主義・自律的 |
最終的にA社を選びました。年収は低い方ですが、試験勉強と仕事を両立させる環境が整っていたこと、そして「資格取得後に再評価する」という約束を書面でもらえたことが決め手でした。
転職後の状況:仕事と試験勉強の両立
転職後1年で試験をさらに1科目合格し、累計3科目に。職場の理解もあり、繁忙期以外は試験勉強の時間を確保できています。年収も試験合格に合わせて月例見直しで10万円上がり、540万円になりました。
前職との大きな違いは「仕事の密度」です。FASでの案件は一つ一つが複雑で、毎日何か新しいことを学んでいる感覚があります。あの「申告書の電子化がDX」と言っていた職場とは全く異なる世界です。
2科目合格での転職を検討している方へ
「まだ科目が揃っていないから転職できない」という考えは捨ててください。転職市場では「試験に合格しながら実務もこなす」姿勢が高く評価されます。資格の最終合格を待っていると、転職市場での「旬の時期」を逃してしまいます。まずはエージェントに相談して、現状での市場価値を確認することから始めることをお勧めします。
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