会計事務所の転職で最も避けたいのが「ブラック事務所」に入ってしまうこと。税理士業界にいると、残念ながらブラックな環境で消耗している同業者の話を頻繁に耳にします。
この記事では、入所前に見抜くための具体的なチェックポイントを7つにまとめました。一つでも当てはまる事務所は、慎重に判断することをおすすめします。
チェック1:求人が常に出ている
1年中ずっと同じ求人が出ている事務所は要注意です。人が定着せず、常に補充が必要な状態を意味している可能性が高いです。
税理士業界の採用は一般的に6〜9月がピークです。この時期以外に大量採用をかけている事務所は「なぜこの時期に人が足りないのか?」を冷静に考えてみてください。退職者が絶えない構造的な問題が潜んでいるかもしれません。
チェック2:所長の人柄・経営スタイル
中小会計事務所の職場環境は、所長税理士の人柄にほぼ100%左右されると言っても過言ではありません。面接時に以下のポイントを観察してください。
- 面接で所長が一方的に話し続ける → ワンマン経営の可能性
- 質問に対して曖昧な回答しかしない → 都合の悪いことを隠している
- 「うちはアットホームな職場です」を強調しすぎる → 具体的なアピールポイントがない裏返し
- 前任者の退職理由を聞いたとき、前任者を批判する → 人のせいにする傾向
チェック3:残業代・給与体系が不透明
以下の給与体系は、ブラック事務所の典型的なパターンです。
危険な給与体系 | 問題点 |
|---|---|
「みなし残業○○時間含む」の時間が40時間以上 | 恒常的な長時間労働を前提としている |
基本給が極端に低く、手当で底上げ | 賞与や残業代の計算ベースが低くなる |
「年俸制」を理由に残業代不支給 | 年俸制でも深夜・休日の割増賃金は必要 |
給与額が「応相談」で具体的な提示がない | 入所後に期待値とのギャップが生じやすい |
税理士として言わせてもらえば、労務管理が適切にできていない事務所が、クライアントの労務相談に乗れるとは思えません。自社の労務環境は、事務所の質を測る重要な指標です。
チェック4:教育・研修体制がない
「見て覚えろ」式の事務所は未だに存在します。入所後の研修プログラムや、先輩によるOJTの仕組みがあるかどうかを面接で必ず確認してください。
特に未経験者や科目合格段階の方は、教育体制の有無がその後のキャリアを大きく左右します。「忙しくて教えている暇がない」は教育放棄の言い訳にすぎません。
チェック5:職員の平均勤続年数と年齢構成
面接時に「職員の方の平均勤続年数はどのくらいですか?」と聞いてみてください。この質問への反応でかなりのことがわかります。
- 平均勤続年数が2年未満 → 離職率が極めて高い
- 所長以外全員が20代 → ベテランが定着しない環境
- 質問をはぐらかされる → 答えたくない理由がある
逆に、10年以上勤務しているベテラン職員が複数いる事務所は、職場環境が良い可能性が高いです。
チェック6:顧問先の件数と職員数のバランス
私の経験上、職員1人あたりの担当件数が25件を超えると、物理的に丁寧な対応が難しくなり、残業が常態化しやすいです。面接で担当件数の目安を確認しましょう。
1人あたり担当件数 | 評価 |
|---|---|
15件以下 | 余裕あり。丁寧な対応が可能 |
15〜20件 | 適正範囲。多くの事務所がこの水準 |
20〜25件 | やや多め。繁忙期の負担が大きい |
25件以上 | 危険水準。慢性的な残業の可能性 |
チェック7:ITツールの導入状況
2026年の今、紙の伝票をめくり、手書きで仕訳を起こしている事務所がまだ存在します。クラウド会計やRPA、電子申告への対応状況は、事務所の「時代への適応力」を測る指標です。
ITツールの導入に消極的な事務所は、業務効率が低く、結果として職員の残業が増える傾向にあります。また、自分自身のスキルアップの観点からも、最新のツールに触れられる環境を選ぶべきです。
入所後にブラックだと気づいた場合の対処法
- まずは証拠を残す:残業時間、パワハラ発言などの記録を取っておく
- 3ヶ月〜半年は様子を見る:繁忙期だけの一時的なものか、通年でブラックかを見極める
- 在職中に転職活動を開始:辞めてから探すのではなく、次が決まってから退職する
- 短期離職を恐れすぎない:税理士業界は転職が多い業界。理由を適切に説明できれば問題ない
まとめ
ブラック事務所を完全に見抜くのは難しいですが、上記7つのチェックポイントを意識するだけで、地雷を踏む確率は大幅に下がります。特に「求人が常に出ている」「残業代が不透明」「教育体制がない」の3つは最重要チェック項目です。
転職エージェントを利用すれば、事務所の内部情報や離職率などのデータを教えてもらえることもあります。税理士向け転職エージェントの活用法については別記事で詳しく比較していますので、あわせて参考にしてください。
