税理士業界の繁忙期は「地獄」と形容されることもあります。私自身も繁忙期に深夜までオフィスにいた経験は一度や二度ではありません。しかし、繁忙期の厳しさは職場の環境によって大きく異なるのも事実です。
この記事では、税理士業界の繁忙期の実態と、繁忙期が比較的楽な職場の選び方をお伝えします。
月別の忙しさカレンダー
一般的な会計事務所(個人・法人の両方を扱う事務所)の月別業務量を5段階で示します。
月 | 忙しさ | 主な業務 | 残業時間の目安 |
|---|---|---|---|
1月 | ★★★★★ | 法定調書、償却資産税、確定申告準備 | 月60〜80時間 |
2月 | ★★★★★ | 確定申告(個人所得税)の本格開始 | 月60〜100時間 |
3月 | ★★★★★ | 確定申告の追い込み(3/15期限)、3月決算法人の準備 | 月60〜100時間 |
4月 | ★★★☆☆ | 3月決算法人の申告準備 | 月30〜50時間 |
5月 | ★★★★☆ | 3月決算法人の申告期限(5月末) | 月40〜60時間 |
6月 | ★★☆☆☆ | 住民税の通知対応、通常業務 | 月10〜20時間 |
7月 | ★★☆☆☆ | 源泉所得税の納期特例(7/10)、通常業務 | 月10〜20時間 |
8月 | ★☆☆☆☆ | 閑散期。夏季休暇を取りやすい | 月0〜10時間 |
9月 | ★★☆☆☆ | 通常業務 | 月10〜20時間 |
10月 | ★★☆☆☆ | 年末調整の準備開始 | 月10〜20時間 |
11月 | ★★★☆☆ | 年末調整、12月決算法人の準備 | 月20〜40時間 |
12月 | ★★★★☆ | 年末調整、確定申告の事前準備 | 月30〜50時間 |
1〜3月が圧倒的なピークです。この3ヶ月間に年間業務量の30〜40%が集中すると言っても過言ではありません。
繁忙期のリアルな実態
業界経験者として正直にお伝えすると、繁忙期の典型的な1日はこのような感じです。
- 朝8時〜9時に出勤、夜22時〜23時に退社(1〜3月のピーク時)
- 土曜出勤は月2〜4回
- 昼食は10分でデスクで済ませる日も
- 確定申告期限(3/15)の直前1週間は終電帰りも
ただし、これは「平均的な中小事務所」の話です。職場環境や顧問先の構成によって、繁忙期の厳しさは天と地ほどの差があります。
繁忙期を乗り越えるための5つのコツ
1. 前倒しスケジュールの徹底
12月のうちに確定申告の資料回収を始めることが鉄則です。1月に入ってから資料を集め始めると、2月後半から地獄になります。
2. テンプレート化・自動化の推進
毎年同じ作業をゼロから行うのは非効率です。前年のデータをテンプレートとして活用し、仕訳の自動連携やRPAの導入で定型作業を削減しましょう。
3. 体調管理の優先
繁忙期に体調を崩すと、リカバリーが効かず他のメンバーにも迷惑がかかります。睡眠時間だけは最低6時間を確保することを強くおすすめします。
4. 「完璧」を捨てて「合格ライン」を目指す
繁忙期は100点を目指すと全案件が遅れます。80点で仕上げてレビューで精度を上げる方が、全体の生産性は高くなります。
5. 閑散期にしっかり休む
8〜9月の閑散期にまとまった休みを取ることが、年間を通じたメンタル維持には不可欠です。
繁忙期が比較的楽な職場の特徴
同業者の話を総合すると、以下の特徴がある職場は繁忙期の負担が軽い傾向にあります。
特徴 | 理由 |
|---|---|
法人顧問中心(個人の確定申告が少ない) | 確定申告が少なければ1〜3月の負担が大幅に軽減 |
決算期が分散している | 3月決算に集中しないため、5月のピークが緩和 |
ITツールの導入が進んでいる | クラウド会計・電子申告で作業時間が短縮 |
十分な人員配置 | 一人あたりの担当件数が20件以内 |
パート・派遣の活用 | 繁忙期のみ増員で対応 |
事業会社との繁忙期比較
「繁忙期がどうしても辛い」という方には、事業会社への転職も一つの選択肢です。
- 事業会社の繁忙期:四半期決算(年4回、各1〜2週間)。会計事務所ほど極端な繁忙期はない
- 残業時間:決算期でも月30〜40時間程度(会計事務所の繁忙期の半分以下)
- 土日出勤:基本的になし
事業会社への転職については、別記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
まとめ
税理士の繁忙期は避けられませんが、「どこで働くか」で繁忙期の辛さは大きく変わります。もし毎年の繁忙期が限界に近いなら、それは転職を考えるべきサインかもしれません。
繁忙期の実態は事務所によって千差万別です。転職エージェントに相談すれば、事務所ごとの残業状況や繁忙期の実態を教えてもらえます。転職エージェントについては別記事で詳しく比較していますので、あわせてご覧ください。
