「あのとき、もっと早く動いていれば——」
これは筆者が転職後に何度も感じたことです。政府系金融機関に勤めていた数年間、筆者はずっと「このままでいいのか」と悩みながら、結局動けないまま時間を過ごしていました。
最終的に転職して年収は350万円から500万円にアップし、その後のキャリアで800万円まで到達しました。でも今振り返ると、もっと早く動いていれば、もっと早くここに来られたはずです。
この記事は、転職を迷っている方に向けて書いています。筆者と同じ後悔をしてほしくないから。「我慢した時間は戻らない」——これだけは伝えたい。
筆者が動けなかった理由
「安定」という呪縛
政府系金融機関は、世間一般には「安定した良い職場」です。公的機関に近い組織で、倒産の心配もなく、年功序列で着実に給与が上がっていく。親や周囲の人間からは「いい仕事に就いたね」と言われ続けていました。
この「安定」が、転職を決断する上で最大の障壁になりました。「せっかく安定した職場にいるのに、辞めてどうするんだ」「失敗したらどうする」——自分自身の中でも、そして周囲からも、こういった声が常にありました。
でも今から思うと、あの「安定」は「変化しないこと」の言い換えでしかなかった。安定を守るために、成長の機会を手放していた。それに気づくのに、筆者は何年もかかってしまいました。
「もう少し経験を積んでから」という先延ばし
「もう少し今の仕事で経験を積んでから転職しよう」——これも筆者を引き止めた思考パターンです。でも冷静に考えると、政府系金融機関で積む経験と、税理士法人で積む経験は質が全く違います。
税理士を目指しているのであれば、1年でも早く税務の実務に触れた方がいい。金融機関での経験がゼロになるわけではないですが、税理士としてのキャリアを考えたとき、金融機関での追加の1年よりも税理士法人での1年の方がはるかに価値があるのは明白です。
この当たり前のことに、当時の筆者は目を背けていました。「先延ばし」の理由を必死に探していたのだと思います。
閉鎖的な環境にいると「外の世界」が見えなくなる
政府系金融機関の社風は閉鎖的でした。前例踏襲、年功序列、異動のたびにリセットされるキャリア。そしてこの環境に長くいると、「これが普通だ」「どこもこんなものだ」と思い込んでしまう。
転職して初めて、外の世界では「成果がダイレクトに評価される」「専門性を積み上げられる」「自分の市場価値が年々上がる」という働き方が当たり前だと知りました。あの閉鎖的な環境にいると、こういった当たり前のことが見えなくなる。これが最も怖いことだと今は思います。
先延ばしにした「コスト」を計算してみた
筆者が「もっと早く動いていれば」と感じるのは、感情的な後悔だけではありません。実際に数字で計算すると、先延ばしのコストは明確です。
シナリオ | 1年早く転職した場合 | 実際のタイミング | 差額 |
|---|---|---|---|
1年目の年収差 | 500万(税理士法人) | 350万(金融機関) | +150万 |
2年目以降のキャリア加速 | より早く経験が積める | 1年分のブランク | キャリア構築の遅延 |
精神的コスト | 早く解放される | もう1年閉塞感の中 | 計測不能 |
年収差だけでも1年で150万円。仮に2年早く動いていれば、300万円分の機会損失です。そしてそれ以上に大きいのは、キャリア構築のスタートが遅れること。税務の実務経験は1年でも早く積み始めた方がいい。この遅れは取り戻すのに思った以上に時間がかかります。
「動くべきサイン」を見逃さないでほしい
筆者の経験を踏まえて、「今の職場を離れるべきサイン」をまとめました。3つ以上当てはまるなら、真剣に転職を検討すべきです。
1. 日曜日の夜が憂鬱
日曜の夜に「明日からまた仕事か...」と暗い気持ちになるなら、それは単なる疲れではなく、環境が合っていないサインです。
2. 「あと○年頑張ったら」と思っている
「あと3年頑張ったら転職しよう」は、ほぼ確実に「あと3年」がリセットされ続けます。期限を設けて我慢する発想自体が、もう限界が来ている証拠です。
3. 成長の実感がない
1年前の自分と比べてスキルが上がっていない、新しいことを学んでいない。これは非常に危険なサインです。特に20代〜30代前半は成長のゴールデンタイム。この時期に停滞することの損失は計り知れません。
4. 「この会社の看板がなくなったら自分に何が残るか」と考えて不安になる
これは筆者自身が最も強く感じていたことです。組織の看板に依存している状態で、自分自身の市場価値に自信がない。この不安を感じたら、それは「自分の専門性を磨くべきだ」という心の声です。
5. 転職サイトをこっそり見ている
通勤電車の中やトイレの中で転職サイトを見ている時点で、答えは出ています。あとは一歩踏み出す勇気だけの問題です。
「あの時動いていれば...」のもう一つのシナリオ
筆者の知り合いに、会計事務所に長年勤めながら「いつか辞めよう、いつか辞めよう」と思い続けて、気づけば40歳を超えていた人がいます。40代での転職が不可能ではありませんが、選択肢は確実に狭まる。年齢が上がるほど、転職のハードルは上がっていきます。
「あの時動いていれば、もっと条件の良い法人に入れたのに」「もっと早く専門性を磨いていれば、今頃もっと上のポジションにいたのに」——こういった後悔は、時間が経てば経つほど大きくなります。
動くなら「今」が最善のタイミング
転職に「完璧なタイミング」はありません。「もう少し経験を積んでから」「もう1科目取ってから」「来年度になったら」——全部、先延ばしの口実です。
筆者が言えるのは、転職のタイミングは「早すぎる」くらいがちょうどいいということ。準備が完璧に整ってから動こうとすると、永遠に動けません。
科目合格が1〜2科目あるなら、もう動けます。特化型エージェントに相談するだけでも、自分の市場価値が分かって視界が開けます。相談したからといって、必ず転職しなければならないわけではありません。
我慢した時間は戻ってこない。これだけは間違いありません。筆者は「もっと早く動けばよかった」と後悔しています。あなたにはこの後悔をしてほしくない。
もし今、「このままでいいのか」と少しでも感じているなら、それは動くべきサインです。その直感は、おそらく正しい。
