「税理士を辞めたい」——繁忙期の深夜、ふとそう思ったことがある人は少なくないはずです。筆者自身、税理士法人時代に何度か「このままでいいのか」と考えたことがあります。
ただし、「辞めたい」という感情と「辞めるべきかどうか」は別の話です。この記事では、冷静に判断するための基準と、税理士を辞めた後の選択肢を整理します。
「辞めたい」と思う主な理由
- 繁忙期のハードワーク → 確定申告期や決算期の過重労働
- 年収が上がらない → 特に中小事務所では頭打ちになりやすい
- 業界の古い体質 → 紙文化、対面至上主義、ツールを使えない人たち
- 仕事の単調さ → 記帳代行や定型的な申告の繰り返し
- 所長との相性 → 個人事務所では所長が全て
業界にいると、これらの不満はよく分かります。特に若い方は、業界の古い体質に合わないと感じるケースが多い。実際、会計事務所を選ばないと本当に合わない可能性があるのは事実です。
辞める前に考えるべき3つのこと
1. 辞めたいのは「税理士」か「今の職場」か
これが最も重要な判断軸です。税理士の仕事自体は好きだけど、今の事務所が合わないだけなら、転職で解決できます。税理士資格を手放す必要はありません。
2. 繁忙期の疲れだけで判断していないか
1〜3月の確定申告期は誰でも精神的に追い込まれます。この時期に「辞めたい」と思うのはある意味正常な反応です。閑散期に入ってから冷静に考え直してみてください。
3. 3年後のキャリアをイメージできるか
今の不満が3年後に解消される見込みがあるか。昇進・昇給・業務内容の変化など、改善の可能性があるなら踏みとどまる価値があります。逆に、3年後も同じ状況が続きそうなら、動く方が合理的です。
税理士資格を活かした「別キャリア」の選択肢
税理士を「辞める」と言っても、資格を捨てる必要はありません。税理士資格を活かしながら、全く違う環境で働くことは可能です。
転身先 | 年収目安 | 活かせるポイント |
|---|---|---|
コンサルティングファーム | 700〜1,200万円 | 数字の読解力、M&A知識 |
事業会社の財務・経営企画 | 600〜900万円 | 税務知識+経営視点 |
FinTechスタートアップ | 500〜800万円 | 税務ドメイン知識、DX適応力 |
FP・資産コンサルタント | 400〜800万円 | 税金の専門知識 |
フリーランス税理士 | 300〜2,000万円 | 独占業務、時間の自由 |
筆者自身、税理士法人→コンサル→上場企業とキャリアを変えてきましたが、税理士資格はどの場面でも武器になっています。「数字が読める」という基礎能力は、どの業界でも重宝されます。
辞めるべきではないケース
- 科目合格中で、あと1〜2科目で資格取得 → ここで辞めるのは最もったいない
- 今の不満が「職場」であって「税理士の仕事」ではない → 転職で解決可能
- 感情的になっている(繁忙期の疲れ、上司との一時的なトラブル)
筆者の本音
税理士業界の悪い点——古い体質、顧客の雑務を代行するだけの事務所、紙文化——これらは確かに存在します。でも、高度な税務や経営に踏み込んだ支援を行っている事務所も確実にあります。
「辞めたい」と思ったときこそ、感情ではなくデータとロジックで判断してください。税理士資格は人生を変えるほどの力を持っています。手放す前に、活かす方法を全て検討してからでも遅くありません。
