「新卒で会計事務所に入るべきか、それとも別の業界を経験してからがいいのか」——税理士を目指す就活生にとって、これは大きな悩みどころだと思います。
筆者自身は政府系金融機関を経てから税理士業界に入ったタイプです。その経験から言うと、新卒入所にも中途入所にもそれぞれ明確なメリットがあります。どちらが正解かは、あなたが何を優先するか次第です。
新卒で会計事務所に入るメリット
1. 若いうちから専門スキルが積み上がる
22歳から税務の実務に触れられるのは大きなアドバンテージです。30歳になる頃には8年分の実務経験があり、同年代の中途組より圧倒的に経験値が多くなります。
2. 試験勉強との両立がしやすい
若いうちの方が体力もあり、勉強時間の確保もしやすい。会計事務所は科目合格者の試験勉強に理解がある職場が多く、繁忙期以外は定時退社で勉強に充てるという働き方も可能です。
3. 独立までの期間を最短にできる
将来の独立を考えているなら、早く業界に入ることで顧客対応のスキルやネットワークを早期に構築できます。
新卒で入るデメリット
1. 視野が狭くなるリスク
会計事務所の世界しか知らないまま10年経つと、他業界の常識や感覚が身につきにくくなります。特にクライアント企業の経営実態を肌感覚で理解するには、事業会社の経験があった方が有利です。
2. ビジネススキルの偏り
税務の技術は身につくものの、営業力・プレゼン力・組織マネジメントなど、ビジネスパーソンとしての汎用スキルは意識的に磨かないと伸びにくい環境です。
筆者が他業界を経てよかったと思う理由
筆者は政府系金融機関で最初のキャリアをスタートしました。正直に言うと、当時は「組織の看板に頼るのではなく自分自身の専門性で勝負したい」という思いから税理士を目指すことにしました。
今振り返ると、金融機関での経験はクライアントの財務状況を読み解く基礎力として確実に活きています。税務申告書を作るだけでなく、「この会社はなぜこういう数字になっているのか」を考える視点は、金融業界で培われたものです。
また、異業種からの転職は年収面でもプラスになりました。2科目合格の段階で準大手税理士法人に転職した際、年収は100万円以上アップしています。
結論:どちらが自分に合っているか
タイプ | おすすめの選択 | 理由 |
|---|---|---|
早く独立したい | 新卒入所 | 実務経験の蓄積を最優先 |
専門性を極めたい | 新卒入所 | 若い時期からの積み上げが有利 |
幅広い視野を持ちたい | 他業界→転職 | 異業種の経験が差別化要素に |
税務以外にも可能性を残したい | 他業界→転職 | M&A・コンサル等への展開が容易 |
どちらの道を選んでも、税理士資格さえあればキャリアの軌道修正は十分可能です。大切なのは「なんとなく」ではなく、自分が何を重視するのかを考えた上で選択することです。
