税理士の転職面接は、一般的な企業面接とは聞かれることが異なります。科目合格数、実務経験の内容、キャリアプラン——税理士業界特有の質問に備えておかないと、実力があっても面接で落とされることがあります。
私自身も面接を受ける側・面接に同席する側の両方を経験してきました。その経験から、面接官が本当に知りたいことと、効果的な回答例をお伝えします。
よく聞かれる質問TOP10と回答のポイント
質問1:「転職理由を教えてください」
面接官の本音:「前職の不満だけで辞めようとしていないか?うちに来ても同じ理由で辞めないか?」
回答のポイント:前職の批判は避け、「成長のため」「キャリアアップのため」というポジティブな理由を軸にする。ただし抽象的すぎるのもNG。「御社の○○分野に強みがあり、自分の△△の経験を活かしながらスキルを広げたい」と具体的に。
質問2:「現在の科目合格状況と、今後の受験予定は?」
面接官の本音:「いつ頃5科目揃うか?試験勉強で業務に支障が出ないか?」
回答のポイント:合格済みの科目と、次に受験予定の科目を正直に伝える。「○年以内に官報合格を目指しています」と具体的な目標を示すと好印象。試験勉強で迷惑をかけない姿勢を示すことも重要。
質問3:「これまでの実務経験を教えてください」
面接官の本音:「即戦力として使えるか?教育コストはどの程度か?」
良い回答例 | NG回答例 |
|---|---|
「法人顧客15件を担当し、法人税・消費税の申告書作成を一人で完結していました」 | 「いろいろな業務を幅広くやっていました」 |
「年商5億円規模の法人を中心に、月次巡回から決算申告まで担当」 | 「先輩の指示のもとで作業していました」 |
数字を入れて具体的に話すことが最大のポイントです。担当件数、顧問先の規模、使用していた会計ソフトなど、具体性のある回答を心がけてください。
質問4:「なぜ当事務所(法人)を志望したのですか?」
面接官の本音:「うちのことをどれだけ調べてきたか?本気度はどの程度か?」
回答のポイント:事務所のホームページ、代表の著書、得意分野を必ず事前に調べておく。「御社が○○分野に注力されていることを知り、自分も同分野でキャリアを築きたいと考えた」のように、自分のキャリアプランと事務所の方向性を結びつける。
質問5:「将来のキャリアプランは?」
面接官の本音:「長く働いてくれるか?すぐに独立して辞めないか?」
これは正直に答えにくい質問ですが、業界経験者としてのアドバイスは「独立」という言葉は面接では使わない方が無難ということ。「将来的には○○分野の専門家として、貴事務所の○○部門をリードしたい」のように、事務所内でのキャリアアップを語る方が好印象です。
質問6:「残業や繁忙期の対応は問題ありませんか?」
面接官の本音:「繁忙期に戦力になるか?」
回答のポイント:「前職でも繁忙期は○時間程度の残業をこなしていました。体力的にも問題ありません」と、実績ベースで回答する。ただし「何時間でもOKです」は危険。ブラック体質の事務所はこの回答を待っています。
質問7:「使用経験のある会計ソフトは?」
弥生会計、TKC、freee、マネーフォワードなど、使用経験のあるソフトを具体的に伝える。転職先が使用しているソフトと異なっても、「他のソフトへの移行もスムーズに対応できます」と柔軟性を示せばOK。
科目合格者特有の質問への答え方
「簿記論・財務諸表論だけですが大丈夫ですか?」
会計科目のみの合格者がよく不安に感じる点ですが、2科目合格でも歓迎する事務所は多いです。「実務を通じて税法の知識を補い、次の試験で○○法の合格を目指します」と、学習意欲をアピールしましょう。
「法人税法と所得税法、どちらを勉強中ですか?」
面接官がこの質問をする意図は、その科目の知識を実務で活かせるかどうかを見ています。法人顧問が多い事務所なら法人税法、個人確定申告が多い事務所なら所得税法の学習が好まれます。事務所の業務内容に合わせた回答を準備しましょう。
面接で差がつくポイント3選
- 逆質問を3つ以上用意する:「入社後の教育体制」「配属先のチーム構成」「直近で力を入れている分野」など。質問がないと「興味がない」と判断される
- 身だしなみはスーツが無難:会計事務所は保守的な業界。オフィスカジュアルOKと言われても、初回面接はスーツが安全
- 「何ができるか」より「何をしたいか」:特に若手の場合、面接官はスキルよりも意欲と成長可能性を見ている
まとめ
税理士の転職面接は、「科目合格数」「実務経験の具体性」「キャリアプラン」の3つが最重要テーマです。この3つについて、数字を交えた具体的な回答を準備しておけば、面接で大きく外すことはありません。
面接対策は転職エージェントのサポートを受けるのが最も効率的です。模擬面接や想定質問の共有など、エージェントならではの支援があります。税理士向け転職エージェントについては別記事で詳しく比較していますので、あわせてご覧ください。
