税理士法人研究

事業会社の税務部門で働く|年収・キャリア・働き方を会計事務所と比較

税理士が事業会社の税務部門に転職するメリット・デメリット、年収、キャリアパスを会計事務所勤務と比較して解説します。

会計事務所や税理士法人で経験を積んだ後、「事業会社の税務部門」に転職するキャリアパスが注目を集めています。事業会社への転職の全体像は別記事で解説していますが、ここでは特に「税務部門」に焦点を当て、より深く掘り下げます。

私の周りでも事業会社の税務ポジションに移った税理士が増えており、その実態をリアルにお伝えします。

事業会社の税務部門とは

事業会社の税務部門(Tax Department)は、企業の税務に関する業務を社内で担当する部署です。一般的に経理部門の中に置かれるケースと、独立した税務チームとして存在するケースがあります。

税務部門が独立して存在する企業の特徴

  • 売上規模が1,000億円以上の大企業
  • 海外子会社を持つグローバル企業
  • 外資系企業の日本法人(本社の税務ガバナンス対応)
  • 金融機関(銀行、保険、証券)

これらの企業では、税務専任の社員を3〜10名程度配置しており、税理士資格保有者を積極的に採用しています。

税務部門の主な業務内容

業務カテゴリ

具体的な業務内容

頻度

法人税・地方税の申告

申告書の作成・レビュー、外部税理士との連携

年1〜4回(四半期)

消費税の申告

課税売上割合の管理、インボイス対応

月次〜年次

税効果会計

繰延税金資産・負債の計上、回収可能性の判断

四半期

移転価格文書化

ローカルファイル・マスターファイル・CbCRの作成

年次

税務調査対応

税務当局とのやり取り、資料準備、交渉

数年に1回

税務ガバナンス

税務リスクの管理、社内税務ポリシーの策定・運用

通年

M&A・組織再編の税務

税務デューデリジェンス、ストラクチャリングの社内検討

案件発生時

会計事務所と大きく異なるのは、「自社の税務を深く理解する」ことが求められる点です。複数のクライアントを浅く広く見るのではなく、自社の事業構造・取引を深く理解した上で税務判断を行います。

年収水準:会計事務所との比較

事業会社の税務部門の年収は、同じ経験年数の会計事務所勤務者と比較して高い傾向にあります。

ポジション

事業会社(税務部門)

会計事務所(中堅法人)

Big4税理士法人

スタッフ

450万〜600万円

350万〜500万円

500万〜600万円

シニア・主任

600万〜800万円

500万〜700万円

650万〜800万円

マネージャー・課長

800万〜1,100万円

650万〜900万円

900万〜1,200万円

部長・Tax Director

1,000万〜1,500万円

1,200万〜1,500万円

特に外資系企業のTax Managerポジションは年収800〜1,200万円が一般的で、大手日系企業でも管理職になれば1,000万円を超えます。加えて、大企業ならではの福利厚生(住宅手当、企業年金、持株会など)が上乗せされるため、実質的な待遇は数字以上に良いです。

ワークライフバランスの実態

事業会社の税務部門が税理士に人気な最大の理由は、WLBの良さです。

  • 残業時間:月10〜30時間(四半期決算時は40時間程度)
  • 土日出勤:基本的になし
  • 有給消化率:60〜80%(大企業ほど消化率が高い)
  • リモートワーク:多くの大企業で週2〜3日のリモート勤務が定着
  • 繁忙期:四半期決算時(年4回、各1〜2週間)。会計事務所の繁忙期のような極端な長時間労働はない

同業者からは「会計事務所時代と比べて生活が激変した」「子供との時間が格段に増えた」という声をよく聞きます。

キャリアパスの選択肢

事業会社の税務部門に入った後のキャリアパスは主に3つです。

パス1:社内昇進(税務部門の管理職へ)

税務スタッフ → 税務マネージャー → 税務部長(Tax Director) → CFO補佐へと昇進するルート。大企業でTax Directorまで昇進すれば年収1,200〜1,500万円が見込めます。

パス2:経理・財務部門への異動

税務の専門性に加えて経理・財務の経験を積むことで、経理部長やCFO候補としてのキャリアが開けます。税務と経理の両方がわかる人材は希少価値が高いです。

パス3:再び会計事務所・税理士法人へ

事業会社で「クライアント側」の視点を身につけた後、再び税理士法人に戻るキャリアも有力です。事業会社の内部事情を理解した税理士は、クライアントアドバイザーとして高い付加価値を発揮できます。

事業会社の税務部門に転職する際のポイント

  • 法人税の申告書作成経験は必須。特に別表四・別表五の理解度が問われる
  • 税効果会計の知識があると大幅に有利。事業会社では四半期ごとに税効果の処理が必要
  • 連結納税・グループ通算制度の経験があれば大手企業で重宝される
  • 英語力:外資系企業やグローバル企業では英語での税務レポートが求められる
  • Excelスキル:ピボットテーブル、VLOOKUP、データ集計のスキルは必須

まとめ

事業会社の税務部門は、高い年収、優れたWLB、充実した福利厚生を兼ね備えた魅力的なキャリアパスです。「会計事務所での経験を活かしつつ、安定した環境で働きたい」という税理士にとって、最適な選択肢の一つと言えます。

事業会社の税務ポジションは非公開求人が大半のため、税理士業界に特化した転職エージェントの活用が不可欠です。エージェントの複数登録で求人の幅を広げることも検討してみてください。

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Suger税理士

税理士資格保有。会計事務所・税理士法人での実務経験を活かし、会計業界のキャリア・転職に関するリアルな情報を発信しています。

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