税理士の転職活動において、職務経歴書は面接に進めるかどうかを決定づける最重要書類です。税理士業界では「実務経験の具体性」が何よりも重視されますが、多くの方が抽象的な記述にとどまり、書類選考で落とされています。
私自身、採用側として数百枚の職務経歴書を見てきました。この記事では、書類選考を通過するための具体的な書き方をテンプレート付きで解説します。
税理士の職務経歴書で採用担当が見ているポイント
会計事務所や税理士法人の採用担当者が職務経歴書で最も重視するのは、次の5つです。
- 科目合格の状況:合格済み科目と受験予定科目、官報合格の見込み時期
- 担当件数と顧問先の規模:何件を担当し、年商どの程度の法人だったか
- 対応可能な業務範囲:月次巡回、決算申告、年末調整、確定申告のどこまで一人で完結できるか
- 使用会計ソフト:弥生会計、TKC、freee、マネーフォワードなどの経験
- 特殊な業務経験:相続税申告、組織再編、国際税務、税務調査対応など
職務経歴書の基本構成テンプレート
税理士・科目合格者の職務経歴書は、以下の構成で作成するのが効果的です。
1. 職務要約(3〜5行)
冒頭に、キャリア全体の要約を簡潔にまとめます。「経験年数」「主な業務内容」「科目合格数」の3点を必ず含めてください。
【良い例】
「会計事務所にて5年間の実務経験があり、法人顧問20件の担当を経験。法人税・消費税の申告書作成を一人で完結できます。税理士試験は簿記論・財務諸表論・法人税法の3科目に合格済みで、2026年8月に消費税法の受験を予定しています。」
2. 職務経歴(時系列)
各職場での経験を、以下の項目に沿って具体的に記述します。
記載項目 | 具体例 |
|---|---|
事務所名・在籍期間 | ○○税理士事務所(2020年4月〜2025年3月) |
事務所の規模 | 所長含め5名、顧問先約200件 |
担当件数 | 法人15件、個人事業主10件を担当 |
顧問先の業種・規模 | 年商5,000万〜3億円の中小企業(飲食、建設、IT等) |
具体的な業務内容 | 月次巡回監査、決算書作成、法人税・消費税申告書作成、年末調整(50名規模)、確定申告(30件/年) |
使用ソフト | 弥生会計、達人シリーズ |
3. 保有資格・科目合格
科目合格の記載方法は非常に重要です。以下のように合格年度とともに記載してください。
- 2021年8月 税理士試験 簿記論 合格
- 2022年8月 税理士試験 財務諸表論 合格
- 2024年8月 税理士試験 法人税法 合格
- 2026年8月 税理士試験 消費税法 受験予定
よくある失敗パターンと改善策
失敗1:業務内容が抽象的すぎる
「税務業務全般を担当」「幅広い業務を経験」といった記述は、具体性がなく評価されません。「法人税の別表四・別表五(一)を自分で作成」「消費税の簡易課税と原則課税の有利判定を実施」など、具体的な業務レベルまで書くことが重要です。
失敗2:担当件数や規模感が不明
数字のない職務経歴書は、採用担当に「仕事の量がイメージできない」と思われます。担当件数、顧問先の年商規模、年末調整の対象人数など、可能な限り数値化してください。
失敗3:自己PRが精神論に偏る
「コツコツ努力するタイプです」「責任感があります」といった精神論は説得力がありません。「税務調査で修正申告額を○万円圧縮した」「業務改善でチームの残業時間を月20時間削減した」など、成果ベースでアピールしましょう。
Big4・大手法人向けに追加すべき情報
Big4税理士法人(PwC、デロイト トーマツ、EY、KPMG)や中堅・準大手法人に応募する場合は、以下の情報を追加すると効果的です。
- 英語力:TOEIC等のスコア、英語での業務経験があれば必ず記載
- 専門分野:国際税務、M&A税務、移転価格など、専門性をアピール
- 学歴:大手法人は大学名も見る傾向があるため省略しない
- PCスキル:Excel(VBA、ピボットテーブル)、PowerPoint等のスキル
職務経歴書の提出前チェックリスト
- A4で2〜3枚に収まっているか(長すぎる経歴書は読まれない)
- 誤字脱字がないか(税理士として正確性が問われる職種です)
- 数字(担当件数、年商規模、科目合格年度)が明記されているか
- 応募先の事務所が求めるスキルと、自分の経験がマッチしているか
- ファイル名は「職務経歴書_氏名_日付.pdf」の形式にしているか
まとめ
税理士の職務経歴書は、「具体的な数字」と「業務の深さ」で勝負が決まります。抽象的な記述を排除し、担当件数・顧問先規模・対応可能業務を明確に示すことで、書類選考の通過率は格段に上がります。
職務経歴書の添削は、税理士業界に特化した転職エージェントを活用するのが最も効率的です。業界を熟知したアドバイザーに見てもらうことで、書類の完成度を大幅に高められます。面接対策とあわせて準備を進めましょう。
