税理士試験は、社会人受験生が約7割を占める試験です。「働きながら合格できるのか?」という不安を持つ方は多いですが、正しい戦略と時間管理があれば十分に合格可能です。
実際に、税理士業界にいる同業者の多くが働きながら5科目合格を達成しています。この記事では、社会人受験生に特化した合格戦略をお伝えします。
科目別の必要勉強時間の目安
各科目の合格に必要な勉強時間の目安は以下のとおりです。ただし、これはあくまで「平均的な目安」であり、個人差があります。
科目 | 必要時間の目安 | 難易度 | 社会人のおすすめ度 |
|---|---|---|---|
簿記論 | 400〜600時間 | ★★★☆☆ | ◎(最初に取るべき) |
財務諸表論 | 400〜600時間 | ★★★☆☆ | ◎(簿記論と同時受験が理想) |
法人税法 | 600〜1,000時間 | ★★★★★ | ○(実務に直結) |
所得税法 | 600〜1,000時間 | ★★★★★ | ○(確定申告に活きる) |
相続税法 | 500〜800時間 | ★★★★☆ | ○(将来性が高い) |
消費税法 | 300〜500時間 | ★★★☆☆ | ◎(学習量が比較的少ない) |
国税徴収法 | 200〜350時間 | ★★☆☆☆ | ◎(最短合格を狙うなら) |
住民税 | 200〜350時間 | ★★☆☆☆ | △(受験者数が少なく情報が限定的) |
事業税 | 200〜350時間 | ★★☆☆☆ | △(同上) |
固定資産税 | 200〜350時間 | ★★☆☆☆ | ○(学習量が最小クラス) |
酒税法 | 150〜300時間 | ★☆☆☆☆ | ○(学習量が最も少ない) |
5科目合計で2,000〜3,500時間が目安です。1日平均2〜3時間の勉強を続ければ、3〜5年での官報合格が現実的なラインです。
社会人受験生のおすすめ科目選択戦略
戦略1:王道ルート(実務重視)
簿記論 → 財務諸表論 → 法人税法 → 消費税法 → 相続税法(または所得税法)
実務に直結する科目を中心に選ぶルートです。転職市場での評価も高く、試験と転職の両立を考える方に最適です。
戦略2:最短合格ルート(効率重視)
簿記論 → 財務諸表論 → 消費税法 → 国税徴収法(または固定資産税) → 法人税法(または相続税法)
学習量が少ない科目を先に取得し、合格科目数を早く積み上げる戦略です。モチベーション維持に有効ですが、ミニ税法ばかりだと転職時の評価がやや下がる点に注意。
戦略3:専門特化ルート(キャリア戦略重視)
簿記論 → 財務諸表論 → 相続税法 → 消費税法 → 法人税法(または所得税法)
相続税特化のキャリアを目指す方向けのルートです。相続税法の合格は転職市場での差別化要因になります。
社会人の1日のタイムスケジュール例
パターンA:朝型(推奨)
時間帯 | 活動内容 | 勉強時間 |
|---|---|---|
5:30〜6:00 | 起床・身支度 | — |
6:00〜7:30 | 朝の勉強時間(理論暗記) | 1.5時間 |
7:30〜8:30 | 通勤(電車内で理論確認) | 0.5時間 |
8:30〜18:00 | 仕事 | — |
18:00〜19:00 | 通勤(電車内で理論確認) | 0.5時間 |
19:30〜21:00 | 夜の勉強時間(計算問題) | 1.5時間 |
21:00〜23:00 | 夕食・リラックス・就寝準備 | — |
1日合計:約4時間。朝型は脳が最も活性化している時間帯に勉強できるため効率が良く、残業があっても朝の勉強時間は確保できるメリットがあります。
パターンB:夜型
仕事後の19:00〜22:00を勉強に充てるパターン。1日合計:約3時間。ただし残業が入ると勉強時間がゼロになるリスクがあるため、朝型の方が安定します。
効率的な勉強法のポイント
理論暗記は「繰り返し回数」が命
税理士試験の理論暗記は、1回で完璧に覚えようとせず、薄く何度も繰り返すのが鉄則です。通勤時間、昼休み、寝る前の10分など、スキマ時間を活用して毎日目を通すことで記憶が定着します。
計算はスピード勝負
計算問題は「解けるかどうか」ではなく「制限時間内に解けるか」がポイントです。本試験の時間配分を意識した演習を普段から行いましょう。電卓のブラインドタッチも地味ですが重要なスキルです。
予備校 vs 独学の比較
項目 | 予備校(通学・Web) | 独学 |
|---|---|---|
費用 | 1科目15〜25万円 | 1科目1〜3万円(テキスト代) |
合格率 | 高い(カリキュラムに乗れば) | 低い(自己管理力が必要) |
時間の自由度 | Webなら自由。通学は固定 | 完全に自由 |
おすすめの人 | 初学者、確実に合格したい人 | 2科目目以降、学習習慣がある人 |
社会人受験生には予備校のWeb講座が最もおすすめです。通学の負担なく、自分のペースで学習を進められます。TAC、大原、スタディングなど、各予備校の特徴を比較して選びましょう。
会計事務所の仕事が試験勉強に活きるポイント
税理士業界で働いている方には、勉強と実務が相乗効果を生む大きなメリットがあります。
- 法人税法:日々の申告書作成が実質的な計算練習になる
- 消費税法:インボイス対応や課税区分の判断が試験知識の定着を助ける
- 相続税法:相続案件を担当していれば、財産評価の実務感覚が身につく
- 簿記論・財務諸表論:日常的に仕訳を切っているため、基礎力が維持される
WLBの良い事務所で働きながら勉強できれば、実務経験と試験合格を同時に積み上げられる最高の環境です。
まとめ
働きながら税理士試験に合格することは、決して不可能ではありません。重要なのは、科目選択の戦略、1日の時間管理、そして繁忙期でも勉強を続ける仕組みづくりです。
試験勉強に理解のある事務所で働くことも合格への重要な要素です。税理士向け転職エージェントに相談すれば、試験休暇制度のある事務所を紹介してもらえます。キャリアと試験を両立させましょう。
